gakushu - 100、ヘレニズム文化
100、ヘレニズム文化
- 2016-8-29 3:34
(NHK20140430)
恐れていることが実際に起こったと想像することは、最悪のシナリオに備える
感情的な戦闘訓練になる。また、知恵と徳を使ってそのシナリオに対処する方法
をシミュレーションすることで、可能な限り、起こりうる不幸を、
より善い機会へと変えていったのだろう。
さらにストア派は、「逆境の予行演習」と
名付けたレジリエンスの構築を行なっている。
マルクス・アウレリウス(ローマ皇帝)は、
これを対人関係をテーマに行なっていた。
―― 明け方から自分にこう言い聞かせておくがよい。
私は、今日、でしゃばり、恩知らず、横柄なやつ、
裏切り者、やきもち屋、人付き合いの悪い者に
出会うことになる。(『自省録』2-1)
これらの人々の登場は、皇帝としての人生にかかわるものだ。
不愉快な人間関係は、歴史をも変えてしまいかねない危機だからだ。
当時、異民族の大軍が侵攻してくるというニュースは
帝国全体をパニックに陥れた。しかし、不測の事態に備えて
「逆境の予行演習」を行なっていたマルクス・アウレリウスは、
冷静に、そして自信をもってこの危機に立ち向かっていった。